【B】姫と王子の秘密な関係
「御免。
びっくりさせた?
石田散薬じゃなくて悪いけどな
冷え冷えシートも便利だろ」
土方のコスをしてるのをいいことに、
またサラリと、どうでもいい言葉が出てくる。
その場の雰囲気が重くならなければ
それでいい。
俺にとって、
この場所は息抜きの場。
ありのままの俺でいる必要もなければ、
早谷の御曹司としてふるまう必要もない。
そんな解放される時間だから。
「あぁ、音羽。
今日はもうタイムオーバー。
もうすぐしたら更衣室も混みはじめるから、
先に着替えて来よう」
彼女の様子にたまりかねたように、
沖田のコスプレをしてる、女の子が彼女の傍へと駆け寄ってくる。
友達の声に、
必死に答えて自分で体を支えようとするものの
まだそんなに動けないだろう。
「近くまで送るよ」
彼女に告げると、
俺は彼女を姫抱きにして更衣室までの道程をエスコートした。
「あっ、有難うございました」
「別に、お大事に。
総司、後は頼む」
彼女が更衣室の中に入ったのを気配で感じながら、
俺は再び、イベント会場の方へと歩いていく。
閉会時間ギリギリまで、
息抜きをして、
着替えを済ませるといつもの日常へと戻って行った。