【B】姫と王子の秘密な関係

7.お父さんの夢 -音羽-





「音羽、今日の予定は?」


大学の講義が終わった私は、親友の和羽と合流して
校舎を後にする。


バイトの時間までは、後三時間。

そして今日は給料日。




「和羽、給料日だからATM行ってもいいかな?
 三時間あるなら、コスプレ用の布探しに行きたいなーって」

「あっ、次の新作作るんだね。
 音羽、最近イベントなかなか付き合えなくてごめんね」

「そんなの気にしないで。

 和羽がジャズダンスの教室の舞台前だったってことは百も承知だったから。
 その本番も終わったから、また私の相方復帰宜しく」

「私に出来ることならね」


そんなことを言いながら笑い返してくれる、
頼もしい和羽。


宝塚が大好きな和羽は、さり気ない仕草に視線が行っちゃう。


和羽と一緒に見に行った舞台でも、
やっぱり……あの世界の男役の人は
独特で……女性が求める究極の男性理想像。


実際の男なんて……、
そんな理想通りにはならない。


そう思うのに……、
アキラさんには強く惹かれてる。



……アキラさん……。




「音羽、ドリーム入ってる。

 アキラさんの事でも考えてた?
 ほらっ、銀行着いたよ」


そう言って私を自分の前へと招き入れて、
ATMの前に誘導してくれる。


幸い、和羽の後ろには人が並んでないんだから
私が後でも良かったのに、
こういう時でも、和羽は私を優先させてくれる。


機械の音声案内に誘導されながら、
お給料から今月の衣装代にまわせるお金を引き出して財布へ。


和羽がATM作業したのを終えて、
私たちはまた、布屋さんを目指して歩き出す。


携帯を取り出した音羽は、
今回のコスプレ衣装のデザインを私に見せる。



画面に映し出された衣装は、
神話の中に出て来る神々のような衣装。


虹色の髪を持つ……幼い少女。
翠聖神(すいしょうしん)


その世界の全てをの運命を担う少女に恋をする
一族全てのものが惨殺された中での唯一の生き残り。

懐聖(かいせい)。
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