【B】姫と王子の秘密な関係
8.ストレスからの解放 -晃介-
幼い時、俺が追い続けた父の姿は
広くて大きくて頼もしかった。
家を預かる母の手によって、
パリッとアイロンで糊付けされた
真っ白シャツに袖を通す父。
父の着替えを手伝う様に、
ネクタイを手渡しながら母はいつも笑ってた。
父を送り出すときは、
玄関に俺と母が並んで、しっかりと送り出す。
玄関前でスーツのジャケットを母が着やすいように支度すると、
父はその袖に腕を順番に入れて、ビシっと着こなすと
颯爽と外の世界に駆け出していってた。
父の周囲には沢山の人が溢れて、
あの頃の俺には、
その世界がキラキラと輝いて見えた。