【B】姫と王子の秘密な関係
僅かな文章でも送信するには勇気が必要で
送信をした後も、
彼女からの連絡が来るのかドキドキが止まらなかった。
後、20分。
その間にシャワーに入って落ち着かせよう。
手早くシャワーを浴びて髪を乾かした頃には、
時間は21時を少し回る。
時計をチラチラと見るたびに、
自分の思いとは裏腹に、更に落ち着かなくなる自分自身に
半ば呆れながらも、冷蔵庫から冷えたお酒を取り出して
グラスに注ぐと、ゆっくりと飲みながらPC画面を覗き込んだ。
《キンコン》っとPCからメッセージ音が聞こえて、
SNSに返信が届いたことを告げる。
*
アキラさん
こんばんは。
今までバイトで遅くなりました。
ってか、アキラさんから
連絡いただけてびっくりしてます。
今から夕飯食べるので、
21時半くらいに電話しますね。
乙羽
*
乙羽ちゃんの綴った、バイトと言う文字が
俺の中で、音羽=乙羽説を大きくさせていた。
約束通り、21時半彼女からの着信を告げる。
「もしもし」
「こんばんは。
アキラさん、乙羽です」
「あっ、電話掛けなおすから一度切るよ」
そう言って電話を切ると、
再度リダイヤルから、乙羽ちゃんの携帯を呼び出す。
「もしもし、乙羽です」
再び、彼女の声が俺の聴覚をくすぐる。
その日、俺たちは30分ほど電話でお互いを話し合い、
日曜日のコスイベの打ち合わせ。
そしてイベント後に、再び、お茶をしようと約束した。