【B】姫と王子の秘密な関係
SAKURAシネマズのある
ショッピングセンターまで、緊張はしたけど
車の中でふたりで過ごす間は、アキラさんの表情がかげることはなかった。
好きな音楽のこと、今後やってみたいコスプレのこと
衣装の作り方とか、同じ趣味を持ってる私たちだからこその会話が
室内で過ごす時間を早めてくれる。
映画館についた後は、
同じように車内で検索してた作品の中から
二人で話し合って決めた一作品を選んだ。
リアルにもゲームにも近い映像で届けられる
独特の世界観。
映画を見ながら、
時折チラリとアキラさんの横顔を見つめる。
一緒に映画を来てる私たちは、
他の人が見たら、どんなふうに映るんだろう。
イベントでも、イベント外でもアキラさんは
素敵過ぎて……隣に立つ自信は、勇気をフル動員しても僅かのみ。
映画の時間の2時間半。
映画を見ていたのか、アキラさんのことを考えていたのか
正直、よくわからない。
存在だけで……私の心を惑わしてしまう人だから。
映画館を出た後は、
ショッピングセンター内をプラプラと歩く。
私の行きつけの布屋さん。
何時も和羽と二人、芯まで購入してる布屋さんで
今後やりたい、コスプレの衣装イラストと睨めっこしながら
布だを見つめていく。
そんな私を、チラリ見たアキラさんは
楽しそうに笑いながら見つめてた。
何種類かの布をレジへと持って行って、
裁断して貰うと、福沢さんを数枚支払って両手にズシリ来る
布の入った紙袋を受け取った。
……やっちゃったぁ……。
コンビニの家業のことで、最近ストレス溜まってたからなー。
なんて自分で自分を慰めながらも、
勢いで購入してしまった布の海に溜息一つ。