【B】姫と王子の秘密な関係
「向こうの業務をやりながら、発注計画表確認しました。
小川さんをやりこめるためかも知れないけど、よく頑張ったね。
二人とも。
確かにこのデーターから考えると、今回の小川さんの発注数は多いよね。
理由が明確になるならば、次に小川さんが来た時にこの資料と共に話し合うといいよ。
それまでに、今回の原価奉仕の商品の展開方法、君たちがどうやって商品をプロデュースしたいかも
ビジョンを明確にして伝えること。
次に、先ほどの課題の件。
今回の問題は、二人とも全問正解。
全問正解出来てないと、君たちどれだけスタッフしてるの?ってことになるから
当然なんだけどね。
後、最後に今渡した問題集。
主に掃除関連。
アイテムの名称とか手順のやり方に纏わる問題。
毎日やってる業務だと思うから、すぐに答えられて当然だと思うけど
明日、また顔を出したときに採点するから宿題」
今、さり気なく圧力かけてきた。
山川さんと話していた頃から、高崎さん、ちょっと機嫌が悪くなってる気がする。
高崎さんと和羽と私の3人で、
夜に行われる勉強会は、その後もずっと受験日の前日まで続いた。
時にマンツーマンで、時に三人で、
付きっきりでみっちりと教えてくれるこの店舗での全ての仕事。
随分と長く、この店で働いていた割には
何も知らなかった現実に、私は自分が情けなくなった。
結構、うちの店の中では出来るほうだって思ってたから。
高崎さんや、小川さんたちが分から見ると
ただのひよっこが、ピヨピヨ泣いてただけだったのかも知れない。
そんな風にすら感じてしまうほど、
打ちひしがれてしまった私自身。
そうやって自信を喪失してしまった私に、
高崎さん自身の優しさが染み込む。