いっしょうけんめい君が好き
私は通りかかった人が呼んでくれた救急車に乗せられ、しばらく入院することになりました。
君が死んでから2ヶ月ほど経っていました。
君の妹さんが私の病室にやってきて、私を見るなり子供のように声をあげて泣き始めました。
私も一緒に泣いて、そして、彼女が言ったんです。
違うんです。
私は、何が違うのか全然分かりませんでした。
彼女は呼吸も整えずに続けました。
それは、私にはとても信じがたい内容で、今度は私が声をあげて泣きました。
君はあの日、バイトの面接に行く途中だった、と。
前日、彼女に電話で話したそうです。
自分の大切な人が苦しんでいる。苦しめているのは自分で、やはりそれは甘えがあって。
これじゃダメだから。笑って欲しい人がいるから。ちゃんとしようと思う。
だから、先ずはバイトから始めようと思ったんだ。
でも決まってから、驚かせたいから絶対に言わないで。
僕は僕の力の限りで、笑顔を取り戻したい。
一言一句丁寧に、君の最後の想いを私に伝えてくれました。
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