Stray Love Ⅰ 〜ソラノイロ〜
「建物マニア?」

ちょっとからかってみた。


「まぁ、建設業だから。

設計は出来ないけど、いつかこんなスゲェの建てたいし!」



建設業…

ヤなカンジ…



「…ヤンキー定番の職業だね」


「…

あぁ、うん」



アタシの嫌味のせいか、沈黙…



仕事をバカにしたワケじゃない。

むしろ、アタシのがバカにされる仕事だ。

ただ…



「夕月は?

なんか夢ある?」


沈黙をやぶって、優しく問いかけるナオ。





優しーじゃん…


「夢か…

そんなんがあれば、まだマシだったかも」





ふと、若菜さんの事を思い出した。

若菜さんってゆーのは、アタシが入店した時の先輩ソープ嬢。


モモと違って、アタシは入店した時から
やさぐれてた。

そんなアタシに、若菜さんは親切だった。


その時はウザいって思ってたけど…


今思えば…
若菜さんの優しさで、慣れない頃を乗り越えられた気がする。


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