スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「り、隆!?」
私は息を切らしながら、隆に近づいた。
「さっちゃん」
『さっちゃん』じゃないし!なんでここにいるん?
「ど、どうしたの?」
息を整えながら聞くと、彼は笑顔で話し始めた。
「手越さんから、今日はさっちゃんと帰れないから、一緒に帰ってあげてって」
はぁ?いつも一緒に帰ってないし!
たくらんでいたのはこの事やな!
「さっちゃん、帰る?」
この人は理香の言うことを信じているのだろうか・・・。
わざわざ遠回りさせて、迷惑よな・・・?
理香の代わりに謝らねば・・・。
「あ、うん。ごめんね」
あと、騙してごめんね・・・。
彼の笑顔を見ると、そんなことは言えなかった。
「いいよ。さっちゃんと会えるの嬉しいし」