スタートライン~私と先生と彼~【完結】

「り、隆!?」

私は息を切らしながら、隆に近づいた。

「さっちゃん」


『さっちゃん』じゃないし!なんでここにいるん?


「ど、どうしたの?」


息を整えながら聞くと、彼は笑顔で話し始めた。


「手越さんから、今日はさっちゃんと帰れないから、一緒に帰ってあげてって」


はぁ?いつも一緒に帰ってないし!

たくらんでいたのはこの事やな!


「さっちゃん、帰る?」


この人は理香の言うことを信じているのだろうか・・・。

わざわざ遠回りさせて、迷惑よな・・・?

理香の代わりに謝らねば・・・。

「あ、うん。ごめんね」


あと、騙してごめんね・・・。

彼の笑顔を見ると、そんなことは言えなかった。


「いいよ。さっちゃんと会えるの嬉しいし」


< 125 / 353 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop