スタートライン~私と先生と彼~【完結】

隆の笑顔と言葉が胸に刺さる。

そんなにストレートに言わんといてよ・・・・・。

私は・・・この人の想いに応える事はできるのだろうか?


想いに応えることもできないのに、メールしたり、こうやって会ったりするのがとても申し訳なく思っていた。

でも、隆の気持ちも聞いていないのに、私から拒否するわけにもいけないし・・・。

私の中の葛藤は、きっと答えのないものではないかと思うくらい考えた。


考えた結果、やっぱり答えなんか出ずに、ずるずると繋がっていた。

自分勝手かもしれないが、私にとってもこの関係が1番望ましいような気がしていた。

こんな煮え切らないことをしているから、理香に悪巧みをされたんや・・・。


私は日々の態度を反省しながら歩いていると、たくさんの視線を感じた。

その視線は、きっと隆に向けられているんだ・・・。それくらい、隆の容姿は整っている。

隆は、電車を待つ間も楽しい話しをしてくれ、私はお腹が痛いくらい笑わされる。

電車に乗りしばらくして

「どうしたの?誰か捜してるの?」

と聞かれ、我に返った。


長年の習慣というのはおそろしい。

無意識のうちに『カズさん』を探していた。

「え?なんでもないよ」


絶対に怪しんでるよね?その後、隆はやはり私の態度に不信感を抱いたのか、若干言葉数が減ったように思えた。

また、さらに分厚い壁が二人の間を阻んでしまった。


あぁ・・・私が悪いんよな・・・。

一人になった帰り道で、俯きながら隆のことを考えていた。

私は、これからどうしたらいいんだろう・・・出口のない迷路に入ってしまって抜け出せそうになかった。


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