スタートライン~私と先生と彼~【完結】
斎藤先生の初授業は、新学期が始まってすぐに行われた、実力テストの解説からだった。
そういえば、あのテスト難しかったなぁ・・・。
「まぁ、このテストは半分取れたら上出来やから、悪いからといって落ち込まないようにな」
優しい口調で話す斎藤先生を見つめてしまう。
答案を受け取ったみんなの顔が曇っているのを見て、私もドキドキしていた。
「原田」
初めて名前を呼ばれてドキドキしていた。
166点(200点満点中)
どうよこの点数は??
ビミョー。
でも私の点数を見て、みんなが騒いでいるのを知り、結構いい点数であることがわかった。
「さすが、沙知!」
「原田、やっぱりすげーな」
私は照れ臭くて下を向いていた。
どうやら私が微妙だと感じた点数は、学年トップの成績だったらしい。
その後、先生の解説を真剣に聞いていた。
先生がこちらを向いている時は、恥ずかしくてあまり見れないので、黒板を見るようにしていたが、先生が板書を始めると、穴があくのではないかというくらい、先生の後ろ姿を見つめた。