スタートライン~私と先生と彼~【完結】
先生は昼休みになると、副担任であるこのクラスに来て、お弁当を食べている。お弁当って言っても、誰かの手作りとかじゃなく、先生たちみんなが注文しているお弁当やさんのお弁当。
毎日、ここに来る理由は不明。
先生の周りには男子生徒が集まり、数学の質問をしている。
しかし先生は「飯を食う時くらい勉強は忘れろ。」と教科書や参考書を閉じさせる。
そうなると話題は・・・。
「先生って彼女いるの?」
とプライベートを聞き出そうとする。
「沙知、おもしろそうな話をしてるよ〜」
奈緒は、速攻参戦しようと、先生の近くへと寄って行った。
私は聞きたくないけど、半ば強制的に連れていかれる。
「先生、どうなん?」
「どうだろうね〜」
「またそうやって曖昧にする!」
「あっ、さっき、川田先生が抜き打ちテストするって言ってたぞ!」
「えっ?まじで?」
「うっそ〜。」
「せんせ〜!」
「じゃぁ、俺食べ終わったから行くわ!」
先生は話をごまかして教室から出ていく。
ごまかしてるつもりだろうけど・・・いるんやろうな、彼女。
私はそう感じた。
完全なる勘だけど。だって、あんなに素敵な人に恋人がいないわけがない。
勝手に落ち込んでは、先生の笑顔を見てドキドキして・・・・・・遠くから見ているだけでは物足りなくなってくる。
『もっと話したい』と欲張りになってくるんだ。