スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「キャーッ」
横からおじさんが倒れ込むように押されたので、私の体は傾き片足が浮いた形になっている。
ちょっと・・・倒れそうやし。
しかも先生も後ろから押されたみたいで、私達の距離を保っていた右手が崩れて、私は先生の胸の中にいた。
やばすぎるよ・・・。
先生に抱きしめられてるみたいやし・・・。
こんな時に限って車内アナウンスは、
『人身事故がありましたので、しばらくこのまま停車します。ご迷惑をかけて申し訳ございません』と流れた。
まじで!?
私、片足が浮いてバランスを崩しているから、無意識のうちに先生にしがみついてるし・・・。
「せんせ〜、ごめんなさい。私バランス崩してしまって・・・」
「あ、あぁ、いいよ。大丈夫か??」
「はい」
先生、しんどそうやけど・・・ごめんなさい。
「先生、倒れそう・・・」
「えっ、あぁ、俺が支えておいてあげるから」
えっ?支える?先生は私の背中に腕を回し支えてくれた。
やばいよ・・・すごい心地いい。
先生の匂いだ・・・。
少しコーヒーの匂いする・・・。
ずっとこのままでもいいな・・・。
15分くらいしてようやく電車は動き出し、私は先生から離れた。