スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「それ以上言うな」
私が気持ちを伝えようとした瞬間、先生が視線を合わさずに言った言葉に私は固まってしまった。
『それ以上言うな』先生の言葉が胸に突き刺さる。
「はい」
私は・・・好きとは言えなかった。
だって、先生、泣きそうな顔してるんやもん。
大好きな先生をこれ以上困らせたくないよ・・・。
無理にでも気持ちを伝えていたら何かが変わっていたかもしれない。
でも最後まで私は、優等生から抜け出す事はできなかった。
「先生、元気でね!」
「あぁ、原田も元気でな!」
あえて『さようなら』とは言わなかった。
『さようなら』と言ってしまうと、なにもかもが終わってしまうような気がしたから。
先生にとって私は、大勢の生徒のうちの一人ですか?
私がずっと捜して続け、見つめていた先生の気持ち・・・。
私、わかるよ・・・。
私と同じなんやね?
だから、突き放したんやね?
これは、『恋』ではなく『憧れ』と先生は言いたいんやね。
でも私のこの気持ちは、『憧れ』じゃなくて『恋』なんやで。
絶対に『恋』。
先生の解答は不正解やで。
私のスタートラインにも立たせてもらえなかった『恋』は終わった。