スタートライン~私と先生と彼~【完結】
しばらく隆と並んで歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「原田さん!ちょっと、待って!」
私が振り返ると、そこには息を切らした奥村くんがいた。
「やっと、つかまったよ」
奥村くんは、かなり慌てて走って来たのか、汗をかいていた。
何?何の用?まさか・・・・・。
「原田さん、京府大学受かったんやってね!おめでとう」
「ありがとう」
それだけよね?
奥村くんは、続きを言いたそうにしているが、隆を気にしているようだ。
隣の隆を見ると・・・奥村くんを鋭い目付きで睨んでいたことに驚いた。
こんな表情見たことない・・・。
普通この状況だと、どこかへ行くよね?
まぁ、奥村くんは強引なところがあるから、隆にいてもらった方がいいんやけど・・・・・。
「奥村くん、何か用があるんじゃないの?」
私は急かすように言った。
「あぁ、原田・・・・やっぱり俺諦められなくてさ・・・。付き合って欲しい」
やっぱりそうか・・・・・・。
なんて断ろう・・・。
というか、隆が彼氏だとは思わないのだろうか・・・。
「ごめ・・・・」
「友達からでもいいからさ」
奥村くんは、私の言葉に被せて言ってきた。
この人に何を言っても無駄な気がした。
どうしたらいいんやろう。
「なぁ、原田さん、お願い」
はぁ?『お願い』って何?
私が相当困った顔をしていたのか、隆が助け船を出してくれた。