スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「おはよう。さっちゃん、準備出来てる?」
出発の朝、隆は予定通りの時間に迎えに来てくれた。
少し寝坊をしてしまい、準備ができていなかったので、中に入って待ってもらおうと思ったが、隆は玄関で待っていると言った。
いくら隆と毎日のように会っていても、お互いの部屋には上げることはなかった。
実家に帰るのは約4ヶ月振り。
2時間半かけて電車で帰る。電車の中ではいつの間にか二人とも寝ていた。
起きたら私が降りる駅で、慌てて電車から飛び降りた。
実家に帰ると相変わらずテンションの高い家族が待っていた。
「あれ?姉ちゃん、隆さんは??」
聡は相変わらず隆を彼氏だと勘違いしているのか、私たちが付き合ってないのを知っていて、わざと言っているのかわからないが聞いてくる。
「はぁ?何で隆が出てくるの?」
私は聡に荷物を渡し、先を歩き、リビングのドアを開けながら言った。
「まだ付き合っていないの?」
『まだ』って何よ。
「うるさい!」
どうしてもうちの家族は、私と隆をくっつけたがる。私も、完全否定をしないところが自分でもずるいと思う。
そして、父も例外ではない。
「母さんから話を聞いたけど、いい男の子らしいじゃないか」
いったい、何て話したんよ!
そりゃ、悪い奴じゃないよ?
むしろめちゃくちゃいい奴。
だけどね・・・まだ整理ができないんよ。
そんなことお父さんたちには、絶対に話さないけどね。