スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「さっちゃん、ずっと好きでした。付き合って下さい」
ゆっくりと、一語一語を確かめるように隆は言ってくれた。
「はい」
ようやく言ってくれた言葉に、私はすぐに返事をすることができた。
もう迷いなんてない。
「まじで?めっちゃ嬉しい!!」
今にも飛び上がりそうになりながら、私は隆に抱きしめられた。
突然の出来事に、私は身を強張らせていた。
運よく、周りには誰もいなかったので、安心した。
「今まで我慢した分」
隆の優しい声で私も全身の力が抜け、隆に身を委ねた。
「いつから?」
聞いてから、なんて意地悪なことを聞いたんだろうと思った。
「3年前からかな?」
「長っ!」
もう3年も経つんやね・・・。
「長くなんてないよ〜」
隆は笑いながら言っていたけど、実際はきっと長かったんだろうと思う。
初めて感じる隆の匂いがとても心地よかった。
そして、いつまでもこうしてたいと思った。
「ありがとう」
自然に出て来た言葉。
「何が?」
隆は腕の力を緩めて、私の顔を覗き込んで、聞いて来たが私は恥ずかしくて顔を上げることが出来なかった。
「好きになってくれて・・・」
そう言うのが精一杯なのに、隆は私に意地悪な質問をする。
「・・・さっちゃんは俺のこと好き?」
わかってるよ・・・私からの言葉もないと不安なんやね。
「好き」
隆の胸の中で言うと同時に抱きしめられる力が強くなったが、隆は何も言わなかった。
それを不思議に思って、そっと顔をあげると、真っ赤な顔をしている隆。
「もう離さないからね・・・・」
そう言う隆の声が切なくて・・・私の胸が痛むのがわかった。長い間、ごめんね。
「大丈夫やで」
私は隆の頭を撫でてあげた。
「俺、かっこわるいし・・・」
「ん?」
「でも、ほんまに嬉しい」
目を細めて、子供のように素直に喜んでくれるのが嬉しかった。
この時、私の隆への想いは先生への想いよりも若干勝っている程度にしか思っていなかった。