スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「さっちゃ〜ん!!」
隆は私の名前を呼びながら、いきなり抱きついて来た。
「えっ?どうしたんよ?」
急に抱きしめられて、動揺を隠すことなんてできなかった。
「うれしい!」
「何が?」
どこまでも笑顔の隆がなぜ喜んでいるのかがさっぱりわからなかった。
「さっちゃんが妬いてくれてるのが!」
「・・・・・」
私はなんだか恥ずかしくて下を向いていた。
そうか、知らない女の子に嫉妬してたんだ・・・。
自分でも隆のが占める割合が、こんなにも大きくなっているとは思わなかった。
「さっちゃん、こっち向いて」
私が顔を上げた瞬間、隆がキスをしてきた。
触れるだけのキス。
私のファーストキス。
隆のファーストキス。
隆は唇を離すと、再び私を強く抱きしめる。
「さっちゃん・・・もう一回いい?」
耳元でそんなこと言われたら・・・ドキドキが止まらなくなるやん。
私はゆっくり頷いた。
隆は腕の力を緩めて、私を見つめた。
隆の瞳には、私の顔が映っていた。
そして、顔と顔が近づき、再び唇を重ねた。
2回目のキスは、少し長く・・・でも離れたくなかった。
「俺、帰る」
急に私から離れると、顔を強張らせて、立ち上がった。
「えっ?急にどうしたん?」
急なことで何が起きたのかがわからなくて、ただ立ち上がった隆を見ていると・・・。