スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「さっちゃん・・・正直、俺はめっちゃ不安」
隆は私の目を見ながらゆっくりと話し出した。
「出会った頃から、さっちゃんの中には誰かが居て、俺が入る隙間なんてなかった。でも、高三の春に何かが変わった・・・。誰かを捜さなくなった。その時、俺はさっちゃんは、『受験票を拾ってくれた人』の話をしてくれたよね」
私はゆっくりと頷く。
「あの時、さっちゃんは、その人が男か女か若いかとかは何も言わなかったけど、俺は『男』だと感じた。でも、もう捜していないからいいか・・・くらいに思ってた」
だから何も聞かなかったんや・・・。
「でも・・・」
そう言った瞬間、隆の顔が曇った。