スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「さっちゃんの学校の文化祭へ行った時・・・。さっちゃんが、ある男を見る視線が特別だった」
ある男・・・。
「さっちゃんはその男を嬉しそうに、副担任の斎藤先生と紹介してくれたよな。俺は確信した」
隆は鋭い視線を私に向ける。
「さっちゃんがずっと捜していた男だってね」
すごい・・・当たってる。
「ここまでで、間違っている所はある?」
「・・・・・・」
私は完全に固まってしまっていて、肯定することもできなかった。
「あいつがさっちゃんの近くにいる以上、俺は勝ち目がないと思った。
だから、告白もしなかった。
俺はフラれる云々よりも、さっちゃんと友達としてさえ遊べなくなるのが嫌やった・・・。
それでようやく、さっちゃんを手に入れて安心してたら・・・これだから。
まだあいつのことが気になるんやなぁと思ったら、無性に腹が立ってきて・・・あんな言い方になってしまった。ごめん」
隆は申し訳なさそうな表情で、深々と頭を下げた。
悪いのは隆じゃない、私なんだ。
「隆・・・私こそ黙っててごめんね」
先生の話をしなかったことを私は謝ると、隆は優しい表情に戻り言ってくれた言葉に胸が締め付けられた。
「いや、黙っててくれたから、頑張れたんやと思う」
「・・・・・・」
この人はどれだけ辛い思いをしながら、私の側にいたのだろう・・・そして、なぜそこまで私を待つことができたのだろう・・・。
私の中で生まれた疑問は、言葉にされることなく、私の中に消えていった。
「さっちゃん、行ってきたらいいで、同窓会」
なんでそんな笑顔で言うんよ?