スタートライン~私と先生と彼~【完結】
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「お兄ちゃん、チョコあげる」
今日はバレンタインデー。
今年は、きっと母親と妹のチョコだけだ。
去年までなら、先輩、後輩、同級生からもいつくかチョコをもらっていたが、今、3年は授業はない。
わざわざ持って来てくれるほど、俺の事を好きでいてくれる子なんていない。
まぁ、家がばれてても気持ち悪いしな・・・。
学校から帰って来た妹が予想外のことを話し出したので、正直驚いた。
「あのね、私の友達のさっちゃんかお兄ちゃんに話があるんやって」
「さっちゃん?」
つい、『さっちゃん』という名前に反応してしまった。
「お兄ちゃん、会ったことあった?高木幸恵ちゃん」
誰だそれ?
「いや、知らん」
「お兄ちゃんの事が好きなんやって」
しらっと言う涼に俺は唖然とするばかりだった。
「・・・・・・」
「外で待ってるから、行ってあげて」
「あぁ」
俺は上着を羽織り、玄関に向かった。
家の前には小柄な女の子が立っていた。