スタートライン~私と先生と彼~【完結】
大学生活
全員の進路も決まったので、久しぶりのトリプルデートをすることになった。
木下と圭たちはすでに自分達の空気を作っているので、入っていけない。
さっちゃんはいつものように笑顔だが、無理をしているように見えた。
「無理してるやろ?」
「えっ?」
さっちゃんは驚いた顔をし俺を見た。
「無理矢理、笑顔を作ってる」
図星だったのか、さっちゃんは静かに俯いた。
俺はそれ以上何も聞かなかった。
聞いたら、君は俺を頼ってくれるかもしれない。
でもそれでは、いつまでもあいつへの想いを断ち切れないような気がして、手を差し延べなかった。
完全には忘れなくてもいいなんて思っていたけど、実際さっちゃんの様子を見ると、自分だけを見てほしいなんて欲張りな自分が出てくる。
そして、自分は一体どうしたいんだ?という疑問がいつも頭の中を巡っている。
答えは―――いつも出ない。