スタートライン~私と先生と彼~【完結】


もうすぐクリスマスというのに、俺には彼女がいない。

でも俺の好きなさっちゃんにも幸い彼氏がいない。

だから、電話をしてみた。


「さっちゃん、24日か25日予定ある?」


駄目元で聞いてみた。


「バイトやわ」


はい、終了。

そりゃそうやんなケーキ屋は、クリスマスは稼ぎ時やもんな。


「そりゃそうやんな?忙しいよね」


俺は物分かりのいい男を演じた。


「隆は一人?」


さっちゃんがそう聞いたが、意図がわからなかった。


「さっちゃんと過ごしたかったんやけどなぁ」

俺は冗談っぽく言ったつもりだたが、「ごめんね」と言われた。


・・・俺の言葉が重かった?


それなら撤回するよ。


「じゃあ、クリスマスは友達のパーティーに行くことにするわ。さっちゃんもバイト終わったらどう?」


「うん。ありがとう」


さっちゃん自身はいつも通りに答えたつもりだろうが、俺は気付いた。

何かを無理していることを。


あぁ、さっきの『さっちゃんと過ごしたかった』発言が、重かったのかな。


俺じゃ、ダメなのか?


そんなマイナスイメージばかりが頭を堂々巡りしていた。

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