スタートライン~私と先生と彼~【完結】
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「なんでケーキなんて一緒に作りたいの?」
ケーキ作りの準備をしながら、さっちゃんが不思議そうに聞く。
「あかんかった?」
「別にいいけど・・・・・・」
やっぱり、高いお店でディナーなんていうのがいいのかな?
「卒業してさ、稼げるようになったら、高級ディナーでも食べに連れていってやるよ!」
「はいはい。ありがとう」
あれ、違ったか?
さっちゃんは手際よく、ケーキ作りに取り掛かる。
「へ〜すっごいなぁ」
俺も邪魔をしない程度にお手伝い。
さっちゃんの料理する姿を見ていると、抱きしめたくなってくる。
しかも、甘いケーキを作ってると、気分まで甘くなってきた。
「さっちゃん・・・」
俺が抱きしめようとすると・・・。
「隆!飾り付けするで!」
「は、はい!」
俺は甘い世界から引き戻された。
ケーキと夕飯が出来て、俺らはテーブルを囲む。
「うまそ〜!」
今日はクリスマスらしく洋食。
「我ながら上出来!」
「さっちゃん、うまい!」
さっちゃんは和食だけではなくて、洋食も中華も上手に作れる。
デザートのケーキまで食べて、満腹になった俺は、甘い世界に入ってしまった。
「さっちゃん・・・おいで」
さっちゃんを隣に座わらせる。
「これ、プレゼント」
さっちゃんは、ゆっくりと箱を開ける。
箱を開けるとすぐ「うわぁ、かわいい」と喜んでくれた。
バイト代が入ったから奮発したネックレス。
トップにはハート型の飾りが付いたものを選んだ。
これが一番さっちゃんに似合いそうだったから。
「付けてあげるから、後ろ向いて」
さっちゃんの髪を軽く束ねて、うなじが見えるようにした。
白くてきれいなうなじが見えただけでもドキドキしていた。
留め具を留めると、彼女を後ろから抱きしめた。
「さっちゃん・・・」
抱きたい。
「あっ、ちょっと待って!」
「へ?」
待てないよ。
「これ、プレゼント」
用意してくれたんや!何やろう。
俺は袋を開けた。中にはマフラーが入っていた。
「あっ、マフラー!これって手編み?」
一瞬、買ってきてくれたのかと思ったが、マフラーを袋から取り出した瞬間、手編みのような気がしたんだ。
「一応ね・・・」
「マジで?めっちゃ嬉しいし!」
さっちゃん俺、手編みのマフラーなんて初めてやし。
早速、マフラーを巻いて、ニヤニヤしながら鏡の前で満足していた。