スタートライン~私と先生と彼~【完結】
危機
俺とさっちゃんが付き合い始めて、1年になろうとしていた頃、順風満帆に過ぎていた生活を揺るがす出来事があった。
目の前のさっちゃんはメールを見て表情が固まっていた。
「さっちゃんどうしたん?」
俺は、さっちゃんの顔を覗き込んで、彼女の表情を伺った。
「あっ、お盆にね、同窓会があるんやって」
そう言うさっちゃんの表情はどこか強張っていて、嬉しそうじゃない。
同窓会って聞いたら普通嬉しくない?
「そうなんや〜。いつの?」
俺は、さっちゃんの表情を気に留めながらも聞いた。
「・・・高3の時の」
あぁ、そうか。
高3の時の同窓会だからそんな表情になってるのか・・・あいつも来るのか?
そうなると、俺も気がかりになったくる。
「ふうん。行くんやろ?」
できるだけ、平常心を保ち聞くと、さっちゃんはさらに表情を曇らせた。
「どうしようかな・・・?」
ほら、そんなこと言う。お盆には帰省する話もしてたし、『行くよ』『楽しみ』って笑顔で言ってくれへんの?
やっぱり、あいつが来るからか?
あいつのことが好きなのか?
「なんか、隠してるの?」
なんでこんな言い方になってしまったのか、悔やまれる。
「何を隠すんよ・・・」
何?そのいかにも『隠してます』みたいな言い方は・・・。
「素直に『行きたい』って言えばいいやん」
「だって・・・隆がやきもち妬くかな?って思ったから!」
やきもち?誰に?
「・・・別に同級生には妬かへんし」
なんでこんな言い方になるんやろう・・・。
後悔しても、言ってしまったものは撤回できず・・・・・・。
「じゃあ、誰に妬くん?」
俺の喧嘩腰の言葉に、さっちゃんも口調を強めて聞いてきた。
予想外の言葉に俺は驚き、彼女を見た。
彼女は、唇を真一文字に結び、何かをこらえているようだった。
さっちゃん、何を言ってるかわかってる?
「誰って・・・」
はっきりと言っていいんか?言うで?
「もういいよ・・・」
呆れるように、一方的に話しを終わりにされた事に腹が立った。