スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「いいことないし!!」
俺は声を荒げて、さっちゃんを見た。
いや、睨みつけていたのかもしれない。
いつもと違う俺の様子にさっちゃんがビビっているのが手に取るようにわかった。
俺は落ち着くために深呼吸をし、さっちゃんと向かい合わせに座った。
「さっちゃん・・・正直、俺はめっちゃ不安」
俺はさっちゃんの目を見ながら話し出した。
さっちゃんの目は真剣に俺を見ていた。
俺はさっちゃんと出会った頃からの考えや気持ちを話した。
さっちゃんは、静かに頷きながら聞いてくれている。
「それでようやく、さっちゃんを手に入れて安心してたら・・・これだから。
まだあいつのことが気になるんやなぁと思ったら、無性に腹が立ってきて・・・あんな言い方になってしまった。ごめん」
俺は頭を下げた。
「隆・・・私こそ黙っててごめんね」
そう言うさっちゃんの表情は切なくて・・・俺は自分が声を荒げて怒ったことに後悔した。
「いや、黙っててくれたから、頑張れたんやと思う」
そう・・・君の口から先生のことがが好きだと言われていたら、諦めていたかもしれない。
「・・・・・・」
「さっちゃん、行ってきたらいいで、同窓会」
俺は精一杯の笑顔を作った。
「・・・・・」
「あいつに会ってきたらいいよ。もし、あいつがいいって言うなら、また俺に惚れさせるから」
「隆・・・」
「じゃあ、俺帰るな・・・」
俺はさっちゃんの部屋をあとにした。