スタートライン~私と先生と彼~【完結】
最終章~それぞれの
隆 走る
無事に乗ることができた夜行バスの中で、俺は寝ることもできなかった。
沙知に電話やメールをしたかったが、充電が切れていた。
真っ暗なバスの中で一人で考えるのは、沙知のこと。
俺はアルバムの中の君に一目惚れした。
実際に会うと想像以上にかわいくて、また好きになってしまった。
でも、君には好きな人がいて・・・・・・。
俺は、フラれるよりも君と会えなくなるのが嫌で告白できなかった。
いつか俺の方を向いてくれるのではないか?
待っていたら、そばにいたら、いつか・・・・・なんて甘い考えを持っていた。
でも、君は俺と付き合ってくれると言ってくれた。
そう言ってくれたのは、お情けや好きな人を忘れる為じゃなく、俺のことを好きになってくれたからなんだ。
それなのに俺は何かにつけて、あいつのことを思い出して嫉妬し、不安になった。
さっちゃんのあいつへの気持ちなんて聞いたことないのに、勝手に今でも好きなんだと決め付けて、あんなことを言ってしまった。
傷付けてしまった。
俺はなんと謝ればいいんやろう。
どうしたらいいんやろう。
伝えたいことがいっぱいありすぎて、何から話せばいいかわからない。
それより、彼女は会ってくれるのだろうか?
お願い、顔を見せて。