スタートライン~私と先生と彼~【完結】
原田が俺に初めて会った時の話。原田は俺が大慶高校に赴任する2年前に俺と会っていたらしい。

俺は全く覚えていなかった。


そして、俺に一目惚れしたこと。


電車に乗るたびに捜してしまうこと。

俺が赴任して来た時には驚いたこと。

数学の勉強を他の教科より頑張ったこと。俺と話したくて、わかる問題をわざと質問しに行ったりしたこと。

せっかく勇気出して卒業式に告白しようとしたのに、言わせてもらえなかったこと。

でも無理に言って俺を困らせたくなかったから言えなかったこと・・・。


俺は胸が締め付けられるように感じた。


「ごめんな・・・俺が悪かった」

謝ることしかできなかった。

「先生は悪くないです」


優しい表情で言ってくれる。

「ありがとう」

「・・・・」

今だ!今しかない!


「原田・・・もしよければ、俺と付き合ってもらえないかな?」


俺は4年間君に伝えたかったことをようやく言えた。ようやく言えた言葉には、原田の返事はなかった。


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