スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「どこまで話してた?」
さっちゃんはテーブルを拭きながら聞いてきた。
「・・・何にも進んでないかな?」
「そうやね」
「先生に告白された後に何かあった?」
沙知はゆっくりと話し出した。
先生には4年の間に彼女がいたけど、本気じゃなかったこと。
本当に好きなのは、君だけだよ』と言われたこと。
今、沙知の中には俺しかいないと言ったこと。
あの時は、先生に恋をしていたこと。
でも今は、自分のことをずっと想ってくれていた人と一緒にいたいと言ったら、それはお情けで付き合ってるんじゃないのかと言われたこと。
先生に久し振りに会って、先生の変わらない姿や優しさに引き込まれそうになって、その度に俺のことが頭に浮かんだこと。
先生が俺のことを忘れさせることができるか聞かれて、先生は待つことはできないから無理だと言ったこと。
先生とのことは大切な思い出だと言ったこと。
全てを打ち明けてくれた。
俺は、ひとつひとつゆっくり話すさっちゃんの話をじっと聞いていた。
「こんな感じ」
沙知はこう締め括った。
「ありがとう。話してくれて」
嬉しかった。
俺は、こんなに愛されていいんやろうか?
ありがとう、沙知。
「愛してるよ、沙知。不安にさせてごめんね」
俺は沙知を抱きしめた。
「愛してるよ、隆。いつもありがとう」
沙知は、俺の胸の中で言ってくれた。