スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「恵美、今日は大切な話があるんや・・・」
俺はなかなか出てこない言葉を搾り出すようにして話を切り出した。
一瞬にして店内が静まり返ったような気がした。
しかし、それはもちろん錯覚で、周りの客は俺らのことなど気にも留めていない。
「なに?」
食事をする手を止めて、俺の方を真っすぐに見つめる表情は割と落ち着いているように見えた。
彼女は今、どんなことを考えているのだろうか・・・。
形の良い唇は、笑っているようにも見える・・・しかしそれは、俺の希望であり、実際は食いしばるようにしっかりと閉じられているのであった。