スタートライン～私と先生と彼～【完結】

「･･･俺と別れてほしい」


恵美は俯いて目を閉じた。

そして何かを考えているように、口を閉ざしてしまった。


どれくらいそうしていたのだろうか･･･きっと数秒だったのだろうが、俺には数10分そのままの状態でいたような気分になっていた。

そして、彼女はゆっくりと目を開けると、俺の目をしっかりと見つめた。

「･･･そう言われると思ったよ」

その顔にはうっすら笑みも見られた。

やっぱり、俺の気持ちに気付いていたのか？

「ごめん･･･」

俺は深々と頭を下げた。

「最近、全然会ってくれないし、会ってくれても上の空だし、好きな人でも出来たんだろうなぁって思ってた」


彼女は、なぜかさらに笑顔を作ろうとしていた。

しかし、無理に作ろうとする笑顔は、余計に悲しく見えた。