♀ my prince ♂
《10・9・8・7・6…》
私もそれを聞きテレビに目を向けると、すぐにカウントダウンは始まった。
わぁ~もうすぐだ~!!
《5…》
『…未亜ちゃんっ』
玲央くんが小声で私のことを呼ぶ。
《4…》
「えっ…?」
私は玲央くんの方を向く。
《3・2・1…》
やがて玲央くんの顔が段々と近くなってくる―…。
《…明けましておめでとうございまーすっ!!》
「ん…っ」
テレビから聞こえるそんな声と共に…玲央くんにキスをされた。
「わぁ~……って、おい!またやってるし」
「え…?あ、ほんとだ。新年早々熱いね~」
亮くん、夏凛ちゃんの順に声がした。
「っ…」
そして…玲央くんが私の唇を離す。
「あぁーあ…。お前らが羨ましい…」
「どうしたんだよ急に。亮らしくない」
急に落ち込んだような亮くんに玲央くんが声をかける。
「どうしたって…。俺だって…好きな子とイチャイチャしたいっつーの」
「!」
りょ、亮くん…!?亮くんには好きな人がいるの…!?
ここには亮くんが好きって思ってる人がいるのに…っ
亮くんの発言に心の中で驚く。そして…
「ぁ…そうなんだ…?渡部くん、好きな人いるんだ…?どんな子…?」
夏凛ちゃんの様子を伺おうとしたら彼女が言葉を発した。
「っ…」
夏凛ちゃん…。夏凛ちゃんは今どんな気持ちでいるの…?
絶対辛いよね…?そんなこと…本当は聞きたくないよね…?
「どんな子…?玲央と対等に言い争える子。」
亮くんは言いながら夏凛ちゃんに振り返る。
「ぇ…」
それって…それってまさか…っっ
「俺…夏凛ちゃんが好き。もうずっと前から…。だから…俺と付き合ってくれない?」
「……はい…っ」
亮くんの告白に夏凛ちゃんは頷いた。