♀ my prince ♂
ピンポーン
その時インターホンの音が部屋中に響き渡った。
「…はーいっ」
私はそう返事をして玲央くんの腕の中から抜け出し玄関の扉を開ける。
「ぁ…宮崎さん」
「未亜様。おはようございます。」
インターホンを押したのは宮崎さんで彼は私に深々と挨拶をした。
「あ…おはようございます。どうしたんですか?」
「玲央様にお話があるのですが…いらっしゃいますでしょうか?」
そう言う宮崎さんの顔は…いつもと違う感じに見える。
……??
「はい、いますよ…?どうぞ、あがって下さい」
「では…失礼いたします」
一礼をした宮崎さんを私はリビングまで連れて行く。
何なんだろう…?お家の方で何かあったのかな…?
「…玲央くん、宮崎さん来たよ」
「ん…?あっほんとだ。どうしたの?」
「実は玲央様に…お願いがございまして…」
宮崎さんが話をする中、私は玲央くんの隣に座った。
「俺に?何…?それより座りなよ」
「あ、はい。…失礼いたします」
ずっと立ったままだった宮崎さんを見た玲央くんがそう促すと、
ようやく宮崎さんはその場に腰を降ろした。
「実は今、里原財閥は大変忙しくて…社員全員でも期限に間に合うかどうかという案件を取り扱っておりまして…なので玲央様にも…少し、お手伝いして頂きたいと思い今日お伺いしたのですが…」
「え…?今そんな忙しいの?っていうか…俺がやってもいい仕事なわけ?」
「はい…。そんなに難しい内容のお仕事ではありませんので…大丈夫でございます」
「……。」
玲央くんのお家…今、そんなに大変なんだ…。
“社員全員でも間に合うかどうか分からない”って…。