♀ my prince ♂
「そっか。でも…」
「っ…」
そう言った玲央くんは私のことを心配そうに見つめる。
玲央くん…絶対、私のこと気にしてる…。
「私のことなら……大丈夫だよ?」
咄嗟にそう思い玲央くんを安心させるための言葉を私は並べた。
「だけど…帰りは遅くなるだろうし…夜は会えなかったりするんだよ?」
「そうかもしれないけど…―」
だめ、玲央くん…行ってあげて…。
「でも…玲央くんの家族が困ってるんだもん。だから私は…行ってあげてほしいの…っ」
きっと寂しいと思う、このお部屋に一人なのは…。
だけど私が我慢しないと…玲央くんは絶対に行ってくれないと思う…。
そんなの私が嫌なの…玲央くんの家族に後ろめたい思い、したくない…。
だから…私が我慢するの…。それで済む話なんだから…。
それに…今言ったことだって本心なんだもん…。
「…分かったよ。じゃあ宮崎さん、明日から?」
「はい…そうして頂けると助かります。では、学校が終わります時間にお迎えに参りますので…」
「…うん、分かった」
「それでは…これで失礼いたします」
宮崎さんはそう言うと部屋を出て行った。
「……。」
これでいいの…。これが正解なんだから…。
「…ほんとに大丈夫?」
宮崎さんが帰ったあとも玲央くんはまだ心配そう。
「へ…?」
「今、言ってくれたこと。本気で…夜は会えなかったりするよ?」
「うん、大丈夫だって。そんなに心配しないで?」
だから私は…出来る限り笑って見せた。
玲央くんは本当に優しい。いつも…私のことを考えてくれている。
だから今度は…私も玲央くんのことを想って考えたいって思った。
もう決めたの…。玲央くんの前では…寂しいって顔、見せないって…。