♀ my prince ♂
―あの日から数日。
宮崎さんが部屋を訪れた翌日から…
本当に朝と昼しか会えない時が続いた。
そんな玲央くんが帰ってくるのは…多分、夜中。
早くても…私がベッドに入った夜11時すぎ。
でも私が“行って?”って言ったんだもん…っ
それぐらい我慢しなきゃ…っ!!
玲央くんは毎日毎日…お仕事、頑張ってるんだから…。
そう思っていたんだけど…それに追い討ちをかけるように私の悩みの種が増えてしまった。
――――――。
『…里原くん。ここ教えてくれませんか?』
一人の女の子が教科書を手に玲央くんに話しかける。
『え…?あぁ~うん、いいよ。』
『わーい、やったー!ありがとうございますっ』
それに王子様スマイルで答える玲央くん。
彼の反応に女の子も嬉しそうに笑っている。
『っ…』
やだ…。玲央くんに近づかないで…。
『……こう、ですかぁ?』
『そうそう!出来てんじゃん』
『いえっそんな…!里原くんの教え方が上手いだけですって!』
『っっ…』
やだよ…。そんな顔で…他の女の子に笑わないで…。
『あと、ここも分かんなくて…』
『え、どれどれ…』
女の子が広げた教科書のある場所を指差している。
その場所を確認するかのように彼は覗き込んでいる。
『っっ…』
もうやだ…。やめて…。てか…こんな黒い感情もどっか行ってよ…っっ
『あちゃん…?未亜ちゃん…?』
『え…?』
夏凛ちゃんの言葉で私は我に返る。
『大丈夫…?元気ない気がするけど…』
『あ、うん…ごめん…大丈夫、だから…』
心配そうな顔で私を見る夏凛ちゃんにそう言った。
玲央くんと一緒にいれなすぎて…私、どうかしちゃってるの…?
こんな“黒い感情”が…自分の中にあるなんて知らなかった…。
こんな感情…私は知らない…。
誰か…これが何なのか…教えてよ…。