♀ my prince ♂
すると―。
「…あっ!玲央~っっ」
部屋の中にいた子が、いきなり玲央くんに抱きついてきた。
「歩実…?歩実じゃんっ」
“あゆみ…?”
あっ…!!この前言ってた幼なじみの子…。
「そーっ!元気だった~?」
玲央くんと会えた歩実ちゃんの表情は…すごく嬉しそう。
「おぉー!元気、元気!」
やっぱり女の子だったんだ…。
「っっ…」
それより…なかなか離れてくれないよ…。私の玲央くんなのに…。
「あ…あの~…」
「ん…?そういえば、その子だれ?」
恐る恐る声をかけてみると歩実ちゃんはやっと私に気づいたようだった。
「ちゃんと言うから…俺から離れて」
「うん…?」
玲央くんの言葉に歩実ちゃんは不思議そうな顔をしたけれど…
彼女は玲央くんの指示通り彼に抱きつくのを止めて離れた。
「この子は…鈴村 未亜ちゃん。俺の彼女」
「えっ…?そう、なんだ…」
玲央くんが私のことを紹介した瞬間…
歩実ちゃんの表情はさっきと違って見えた。
「…っ」
もちろん…驚いているだけなのかもしれないけれど…
だけど私には…それが嫌な予感のように感じたんだ…。
「あっ…えっと…未亜ちゃん、だよね…?私、白石 歩実(しらいし あゆみ)
玲央とは…幼なじみなんだ。私のこと歩実って呼んでくれていいからね?」
「うん…よろしくね?歩実ちゃん…」
歩実ちゃんは戸惑いながらもそう話しかけてくれる。
だから私も…出来る限りの笑顔でそう彼女に返した。
歩実ちゃんとは初対面だもん…。
嫌な態度なんか取って悪い印象とか与えたくないよ…。