♀ my prince ♂
「あっうん…元気だったよ…?翔くんは…?」
一応そう聞いてはみるものの…
「っ…。」
さっきから黙っている隣りの“彼”の視線を強く感じる。
う゛~…。玲央くんの視線が痛いんですけど…。
「うん!俺も元気だった!それより…まじ久しぶりだな?また会えて嬉しいよ。」
ちゅ…っ
「っ…!!!」
翔くんはそう言いながら私を少し離し…ほっぺにキスをしてきた。
ふぇ…っ!?
な、何…!?私…キスされたの…?
てかそんなことより…っ!!
「っっ…」
さっきよりも視線が痛いってば…っ!!
「あ!あの…翔くん…っ」
「んん?」
私がそう言うと翔くんはものすごくキラキラとした笑顔で返事をする。
「はなっ…して…?」
「あっ…うん…?」
不思議そうな顔ではあったけれど翔くんはやっと私を離してくれた。
ふぅ~…翔くん、やっと離してくれたよ…。
もうあんな視線には耐えられないよぉ…っ!!
「…てかさー、さっきからみぃの隣にいるそいつ…誰?」
翔くんはずっと疑問に思っていたのか私の隣にいた玲央くんを指差しながらそう聞いてきた。
「えっ、と……っ……!!」
私は翔くんに紹介しようと恐る恐る玲央くんの顔を盗み見る。
すると思っていた通り、ものすごく機嫌が悪そうな顔をしていた。
う゛っ…やばっ!!絶対怒ってる…。どうしよう…?
でもでも…っ!今は翔くんに紹介しなきゃ…っ!!
「あ、あのね…?この人は里原 玲央くんって言って…っ」
「えぇっ!?あぁ~、あんただったんだー?」
紹介しようと口を開いた時、翔くんが私の言葉を遮った。
……?
「…翔くん、知ってるの?」
「知ってるもなにも…この学校の“王子様”って呼ばれてるんだろ!?
あともう一人いるって聞いたけど…みぃは、そっちも知ってんの?」
「ぇ、あっ…うん…」