♀ my prince ♂
「…で。今に至るってわけ?」
「うん…そう…」
「ふ~ん…。でも未亜は…あいつとは友達、なんだよね?」
そう言って話をまとめる玲央くんに返事をする。
すると間髪入れずに真剣な顔でそう聞いてきた。
……??
「うん、そうだよ…?それがどうしたの?」
「いやっ、何でもない。早く行こ…っ」
玲央くんがそう言いかけた時―。
「…玲央ー、未亜ちゃーんっ」
「あっ…歩実」
後ろから私たちを呼ぶ声が聞こえてくる。
振り返ると歩実ちゃんが小走りでやって来た。
「今日からなんだよな?学校」
「うん、そう!でね…?私、亮と同じクラスみたい…」
「……っ」
玲央くんにそう告げる彼女の表情は少し残念そうで…
私はその表情を目の当たりにして胸騒ぎがする気がした。
この感じ…絶対に、いい予感ではないと思う…。
恋愛経験が少なすぎる私でもそう思うんだから…。
「何でそんな悲しい顔してんだよ?いいじゃん別に。亮なら頼れるし。って…何でもう知ってんの?」
「えっ、あぁ~…さっき名簿見せてもらったの。そしたら亮の名前がチラッと見えて。でねでねっ!もう一人、転入生がいるんだよ!?…男の子だったけど」
「へぇ~……そうなんだ…」
だけどすぐ彼女は元の明るい表情に戻った。
その代わりに…玲央くんが険しい表情になる。
あっ…翔くんのこと、だ…。
「ん…?玲央~。どうかした?」
「ううん、別に何でもない」
歩実ちゃんの不思議そうな顔に玲央くんは笑顔でそれに答えた。
「そう?ならいいんだけど…。てか先に行くね!じゃあまた今度~!」
歩実ちゃんは手を振りながら足早に去って行った。
歩実ちゃん…やっぱり好きなのかな…?
翔くんと玲央くんのことも気になるけど…。
とりあえず今は…何も問題が起こらないよう願うだけだった―。