♀ my prince ♂
「…珍しいじゃん。3人でいるなんて」
ガタン…ッ
そう言う声が聞こえて…私の隣りに誰かが座った。
ううん…誰かっていうか…顔を見なくても誰が来たのかが分かる。
女の子たちを魅了する甘い声。そして…私が一番安心出来る声…。
「あっ玲央~。何してんの?」
それは紛れもない…玲央くんだった。
「ん…?別に何もないけど?たまたま、3人でいるのを見かけただけ。それより未亜ちゃん、まだご飯食べてたの?」
玲央くんは歩実ちゃんに言ったあとまだ少し残っている私のご飯に目を向けた。
「え…?あ、うん…」
「早くしないと時間なくなっちゃうよ?それとも…俺が食べさせてあげようか?」
玲央くんはそう言いながら少し近づき私の目を、じ…っと見つめてくる。
「//…っ」
や…止めてよ…!そんな目で私を見るの…。逆らえなくなる…。
「いっ…いらないっ!自分で食べれるもんっ!!」
だけど…ギリギリの所で彼に勝った私は残りのご飯を食べ進めた。
な、なに…!?こんな大勢の人がいる所でなに言っちゃってるの…!?
「…ふふっ」
すると突然、夏凛ちゃんが噴き出すように笑った。
「おい、小嶋~。今、笑うとこあったかー?」
「へ?あぁ~…未亜ちゃん可愛いな、と思って」
「えぇっ!?あ…あたし…っ!?」
玲央くんにそう言う彼女に私は驚く。
「うん。だってさー、すごい必死で里原くんのこと拒否ってんだもん。だから可愛いなぁ…って思って。ね?歩実ちゃん」
「へっ……?あっうん…」
夏凛ちゃんに話を振られた歩実ちゃんの返事には少し間があった。
この時の私は…本当に何も知らなかった…。
歩実ちゃんがどんな顔、どんな気持ちで…私たち二人の姿を見ていたのかなんて…。