♀ my prince ♂




―放課後。




「…じゃあまたあとでね~?」



「バイバーイっ」


そんな声たちを聞きながら私は帰る準備をしていた。


ちなみに玲央くんは“用事があるから”って言って
私よりも先に教室から出て行ってしまっていた。




「はぁ…」




私…どうしたらいいのかな…?
結局、夏凛ちゃんにも相談できなかったし…。


どうすれば…歩実ちゃんともっと普通に喋れるんだろう…?




「はぁ~…」




こんな気持ちにならなきゃ…私だって歩実ちゃんと仲良くなりたいってちゃんと思っているのに…。
もう…自分がどうしたいのかが全然分からない…。苦しいよ…。誰か…私を助けてよ…。




「みぃ…?どうかした?」


その時…席に座ったままだった私の顔を翔くんが覗き込んだ。



「へっ…!?ううん、何でもな…っ」



「くは、ないでしょ?みぃ…悩んでる顔してたし」


立ったまま私の顔色を伺う翔くんは私の話を遮り真剣な顔つきになる。



「…っ」




私…そんなに顔に出てたの…?




「ねぇ、みぃ…何があったの?俺でよかったら…全部聞くけど?」


そう言う翔くんは真剣でもあり心配そうな顔で私を見つめていた。



「っ…」




何でこんなに優しいの…?何でこんなにも…私を心配してくれるの…?




「ありがとう、翔くん…」




“翔くんに言っても仕方がない”



そう心の奥では思っていても…いま感じている気持ちを全部話そう、そう思ってしまった。
経験値が低すぎる私には…もうこれ以上、一人では抱えきれない思いでいっぱいだった…。





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