♀ my prince ♂
smile.27
気づかなかったこと
【玲央 side】
あいつがやって来て…約1ヶ月。
未亜ちゃんには何も言ってないけど…
「…っ」
あいつと喋っている未亜ちゃんを見るのは…すげぇ嫌。っていうか…かなりいらつく。
もしも相手があいつじゃなかったら、そこまで嫌だって気持ちはないのに…あいつだけは、どうしても無理。
「何そんなやつに笑ってんだよ…」
“今すぐ連れ去って俺の傍に置いておきたい”
そう思ってしまうんだ…―。
―そんな日から数日。
放課後、俺はあいつ…三波に呼び出された。
「…何だよ、話って」
俺は冷たく三波に言い放つ。
「あぁ…。実は俺…みぃが好きなんだ。お前とみぃが出会う、ずーっと前から」
三波は真剣な顔でそう言うと俺のことをキッと睨んだ。
「だから…?それが何なんだよ。」
俺も負けじと睨み返す。
「だから…お前がみぃを悲しませるようなことをしたら―…」
この続き…なんとなく予測できる。
「―…俺がみぃを奪い取る。」
ほら来た…予想的中―。
「は…?んなことさせるかよ!つーか未亜は俺がずっと守ってくんだ!お前が入る隙なんて…1ミリもねぇんだよ!!」
三波の宣戦布告とも取れる発言に俺は気づくとそんなことを言っていた。
だけど…これは俺の本音。
本当に未亜ちゃんは大事な存在で…これからもずっと守っていくって…そう心に誓っているから。
「あっそ。てか話はこんだけだから。…じゃあな。」
三波はそう言うと俺の前から去って行った。
「……」
やっぱりな。そんな気してたんだよ。
初めは海外帰りの癖が抜けていないだけかとも思ったけど…それは違うと感じ始めた。
あいつが未亜ちゃんに向ける眼差しが…明らかに他の女の子たちとは違っていたから。
だから俺は確信した…“あいつは未亜ちゃんが好き”だと。
つーか…あいつにだけは絶対に渡さない。
未亜ちゃんは…“俺のもの”なんだから―。