♀ my prince ♂
【未亜 side】
―それから。
また何日も日が経った。
だけど、やっぱりまだ歩実ちゃんには普通に接することが出来ないでいた。
もちろん…玲央くんのことは大好きだし彼のことをちゃんと信じてもいる。
それに翔くんだって、“玲央くんだけ見てたらいい”って言ってくれたけど…。
そう思いながら廊下を歩いてる時…事件は起こった―。
「…ちょっと止めてよっ!!」
んん…?今の…歩実ちゃんの声に似てる…?
そう言う悲鳴にも近い女の子の声が私の耳に届く。
そんな気がした私は声が聞こえた方に近づいていった。
「っ…!!!」
あ…歩実ちゃん…っ!?
壁に身を隠しながら見た光景に目を見開き驚く。
歩実ちゃんが二、三人の男の子に囲まれていた。
「なぁいいじゃんっ」
「俺たちとどっか行こうよ?」
「イヤだ…っっ!!」
そう言いながら一人の男の子が彼女の腕を引っ張っている。
その行動に必死で腕を上下に振って彼女は抵抗していた。
ど、どうしよう…っ!?
「何でそんな拒否んの?」
「ただ遊びに行こうつってるだけじゃん」
「ぁ…あんたたちなんかと…どこにも行きたくなんてないの!!」
歩実ちゃんがっ…歩実ちゃんが…!!助けなきゃ…っ!!
「…おいっ!止めろよ。」
一歩踏み出そうとした瞬間…誰かのそう言う声が聞こえてきた。
へっ…?この声…聞いたことある、ような…。
「っ…!!!!」
えぇ…!?れっ…玲央くん…!?
もう一度、目を向けた先に見えたその光景に言葉を失った。
目に映るのは…歩実ちゃんの肩に腕を回している玲央くんの姿。
「里原!お前、彼女いんだろ?」
「けど今は…そんなの関係ねぇだろ。」
「っ…」
彼のその言葉が…胸に奥に深く深く突き刺さった―。