♀ my prince ♂
「歩実ちゃん、の…グスッ…肩に……手…回して、てね…?“里原には彼女いるだろ?”って男の子に言われてて……グスッ…それで玲央くん…“今は関係ない”って……うぅ~……っ」
「あいつ…そんなことしたの?」
もう限界だった。私の涙腺は決壊を起こしてしまった。
翔くんはそう言いながらも止めどなく溢れる涙を拭う。
「でも、ね……私…ちゃんと分かってるの…何で玲央くんが…そんなこと…っ」
ぎゅ…っ
「えっ…!?翔、くん…?」
話していた途中…翔くんに抱き締められた。
「みぃ…。そんなやつ…もうやめろよ…」
「へっ…」
彼がそう言う意味が分からず同時に涙が引いていくのが分かる。
「こんな時に言うのは卑怯だって分かってるけど…俺、今のみぃ…まじで見てらんないわ…」
え…?何それ…どうゆうこと…?
「俺さー………みぃが好きなんだ…」
「えっ…!?」
うそ…。翔くんが…私のこと好きだったなんて…。
「もうずっと前から好きだよ…?てか転校するずっと前から。それに俺なら…みぃのこと絶対に泣かせたりしないのに…」
翔くんがそんなことを思っていたなんて…全然知らなかった…。
ううん…っていうか…気づこうとも…全くしなかったのかな…?
でも私…私は…―。
「でも私…玲央くんが好き…」
「分かってるよ。てか痛いくらい身に沁みてる…“みぃは本当に…里原が好きなんだな”って…」
「……」
私の言葉を遮った彼の言葉を聞き…私は何も言えなくなってしまった。
翔、くん…。
私は翔くんの気持ちを全部分かってはいないと思うけど…
それって…すごく辛いよね…?すっごく…悲しいよね…?
「だけどそれでも…俺、みぃのこと…全然諦められねぇよ…」
「翔くん…」
ごめんね…翔くん…。
翔くんの気持ちに応えてあげられなくて…。
本当に本当に……ごめんなさい…。
私は……玲央くんだけが好きなの…―。