♀ my prince ♂
smile.28
それぞれの想い
【未亜 side】
―あのあと。
翔くんと一緒に寮に戻って…今は部屋の前。
「はぁ~…」
玲央くんに会うの…何だか緊張する…。
そう思いながら…ドアを開けた。
「!」
あ…やっぱりもう…帰ってるんだ…。
玄関に置かれた靴を見て、そんなこと思う。
「ただいま~…」
そう言ってリビングへと入っていく。
「…おかえり。何してたの?」
「えっ…と…」
そこには不機嫌そうに見える玲央くんがソファに座っていて、
私はいつもと違う彼の態度に…返す言葉が見つからないでいた。
え…?な、なに…?怖い…。怖いよ、玲央くん…。
「っていうか見たよ…?三波に抱き締められてる未亜ちゃん」
「え…!?」
玲央くんの発言に私は驚きを隠せない。
見られて…たんだ…。
「ねぇ…!何であんなことになってんの!?あれさー…告られたんでしょ?」
「っ……そう、だけど…でも私だって見たもんっ…!玲央くんが歩実ちゃんといるとこ」
玲央くんは、いつもよりはるかに強い口調でそう言う。
そんな姿に怖気そうになったけれど…彼に言い返した。
「え…?」
まさか自分も見られていたとは思っていなかったみたい。
それを聞いた彼は少し目を見開いて驚いている様子だった。
もう…我慢なんて出来ない…。玲央くん…どうにかしてよ…!!
「玲央くんが…歩実ちゃんの肩に手回して…私、それ見るの…ちょっと嫌だった…」
私の心は…もう言うことを聞いてくれないみたい。
次々と何かが溢れてくる気がして俯いて話し始めた。