♀ my prince ♂
【玲央 side】
歩実が突然部屋にやって来て…“姫を届けに来た”とか言い出すから“何それ…?”って思ってたら…小嶋に背中を押された“今まで見たことがない彼女”が俺の前に現れて…。
本当に心臓が止まるかと思うぐらいビックリした。
顔には化粧を施し…髪だってクルクル巻かれている。
そんな彼女と部屋に二人にされたあと…
とりあえず、リビングへと移動した。
「…っ」
だけど俺は…いつもと違う彼女の姿が見れなくて背を向けたまま。
っていうか…
俺、あんな未亜ちゃん見たことねぇよ…。
それに…胸の高鳴りが全然治まらない…。
ヤバいんだけど…どうしたらいいわけ…?
「あのっ…玲央くん…っ」
「へ…っ!?」
突然名前を呼ばれて驚きながら彼女の方に振り返る。
「今……ドキドキしてる…?//」
「//…」
そんなストレートなことを聞いてくる彼女の顔が…赤く染まる。
それが化粧のせいなのか恥ずかしくて赤いのかなんて分からない。
それが伝染するように…俺自身の顔も赤くなるような気がした。
これは…言うべき、なのか…?
て、それより…目うるうるさせないでよ…。
今すぐにでも襲ってしまいそうになる…。
「お願いっ…ちゃんと答えて…?//」
悩み何も言わない俺を見た彼女は可愛い声を発し腕を掴んでお願いしてくる。
「えっ、と…」
ちょっと待って…!!明らかにいつもと違う…!何これ…。化粧の力なのか…!?
「ねぇ、玲央くんってば…っっ!!」
そう言って更に腕を掴む力が強くなる。
「っ…」
あぁ~……もう無理…。今日は勝てない…。
「うん……めちゃくちゃ…//」
「えっ、ほんとに~?」
必死に戦ってはみたものの結局、今の彼女に勝つことは出来なかった。
だけど彼女は…ものすごく喜んだ表情を浮かべて俺の左胸に手を当てた。