♀ my prince ♂
smile.30
モテ期は大変…?
―高校2年生、3学期。
最近、私の周りにある異変が起きている。
それは―…、
「…鈴村さん、好きです」
なぜか告白されることが多くなったこと。
現に今も…同学年の男の子に呼び出されてそう言われた所。
あと告白を何回もされて思ったことがある。それは…。
「ぁ、でも私っ…付き合っている人がいるの…だから…っ」
「知ってるよ、そんなの。ただ…気持ち言いたかっただけだから」
そう言って彼はニコッと微笑む。
「ほんとに…ごめんなさい…」
私は申し訳ない気持ちいっぱいで頭を下げた。
「いいよ、全然。気にしないで?それより…里原、怒るかな。」
「え、どうだろ…分かんない…」
「そっか。あ、ごめんね?それじゃあ」
最後に苦笑いを浮かべて彼は去っていった。
「はぁ~…」
告白を断るのにも…体力を使うってこと。
毎回のように、こうやってため息が出てしまう。
でも何で…急に告白され始めたのかが分からない。
だけど夏凛ちゃん曰く…“未亜ちゃんは入ってきた時から密かに人気あったよ?”なんて言ってくる。
そんな話を信じられない私は“えぇ~…そんなことないってばー…”って返すことしか出来ない。
だって本当に信じられないんだもん…。
告白されたのは玲央くんが初めてだけど…それ以外は翔くんだけ…。
なのに今の、この展開…急すぎて頭がついていかないよ…。
カチャ…ッ
「はぁ…」
リビングのドアを開けたと同時に再びため息が出た。
「……未亜ちゃん?」
“あの人”がいるとも知らずに―…。
「へっ…!?」
名前を呼ばれて思わず声が裏返る。
「れ…玲央くん…早かった、んだね…?」
私はソファに座る玲央くんに目を向けた。
「うん。……ねぇ、」
「え…っ」
玲央くんの目が…一瞬で変わった気がする。
「今日も告られたの?」
「えっ…!?」
図星をつかれて明らかに動揺してしまう。
「…当たりなんじゃん。」
そう言う玲央くんの表情は…悲しそうに見えた。