♀ my prince ♂
「っ…」
れ…玲央くん…?
「……おいで?」
だけど…両手を広げて、すぐ優しい顔になる。
「うん……っ…」
そんな態度に少し躊躇いながらも彼の元へと近づいていく。
そして…ちょこんとソファに座ると、すぐに抱き締められた。
「玲央くん…?」
どうしたんだろう…?いつもと違う…?
「未亜ちゃんが急にモテすぎて…正直困ってる」
「え…」
そう言う声は落ち込んだようにも聞こえて私は少し驚く。
「だって…今日で何回目?」
「えっ、と……5回目…」
そう聞かれて頭の中で数を数えた。
「でしょ?さすがにもう…気が気じゃない」
「でも…玲央くんだってモテるじゃん…」
心配してくれている玲央くんに…つい、そんなことを言ってしまう。
「けど俺は…そんなに告られないもん」
「じゃあ…いつもの子たちは…?」
「いつもの子…?」
玲央くんは分かってなさそうな声でそう言う。
「いつも…玲央くんを囲んでる子…」
私の言う“いつもの子たち”とは…
いつも玲央くんを取り囲んでいるファンの女の子たちのこと。
「あぁー。あの子たちは“取り巻き”だから…そんなのないよ。」
「と…っ!?」
取り巻きとか言っちゃうの…っ!?
「でも…告白だって、されるでしょ…?」
まだ卑屈になっている私はそう聞いてしまう。
「うーん…たまに、かな。まぁ…最近の未亜ちゃんほどではない」
「っ…」
何かそれ…私が悪いみたいな言い方…。
「ねぇ…私、悪いことしてる…?」
今の玲央くんの言い方が、ものすごく気に障り怒ってしまいそうになる。
「いーや…?」
そう言うと抱き締める力が強くなった。
「じゃあ…」
“何でそんなこと言うの…!?”
そう言ってしまおうかと思った時…、
「俺…独占欲が強いみたい。こんなに強いって思ったの…未亜ちゃんが初めて。だから…他の奴にムカつくだけ。…当たってごめん」
玲央くんが先に言葉を紡ぎ最後は呟くようにそう言った―。