♀ my prince ♂
「へっ…」
玲央くんの言った言葉は…私の思考回路を止めた。
「本当は高校の間に行けって親に散々言われてたんだけどさ…俺が…“高校卒業するまでは待って”って、ずっと言ってきたんだ…。未亜ちゃんがいたから…」
「ぇ…」
「それに、ずっと言えなかったのだって…未亜ちゃんが大切だから…まぁ言い訳かもしれないけど。」
「……」
玲央くんはそう言うと苦笑いを浮かべる。
ってことは…私のために…ずっと傍にいてくれたの…?
私のために…今日までずっと言うことが出来ずにいたの…?
「それじゃあ…ほんとに行っちゃうの…?」
「うん…」
「………どのぐらい…?」
本当は聞きたくない。だけど…そう聞かずにはいられない。
「短期だから……2年」
「2年…っ!?2年もの間…玲央くんと離れ離れなの…!?」
いやだ…やだよ…そんなの寂しすぎる…。
玲央くんが傍にいてくれないなんて…っ
その驚きとともに溢れないよう堪えていた涙が目から落ちる。
「これは…もう決まったことなんだ…。未亜ちゃんも知っている通り…俺は里原財閥の跡取り息子。家を継ぐには…避けて通れないんだよ…」
「グスッ…でもっ……でもぉ~…っ」
ぎゅ…っ
「っ…」
言葉を続けようとしたら玲央くんに抱き締められた。
「ごめん…ごめんね?未亜ちゃん…」
そう言う玲央くんの声が耳のすぐ傍から聞こえてくる。
「…寂しい、よぉ…玲央くんが傍にいなきゃ……私、寂しい…っ」
「俺も寂しいよ、未亜ちゃんがいないなんて…。それに未亜ちゃんを置いて行かなきゃいけないなんて…すげぇ心配…」
玲央くんのその声は…今まで一番悲しく聞こえた。