♀ my prince ♂




“じゃあ行かないで…!!”


本当はそう言ってしまいたい。てか…私の心はそう言っている。
だけど…それを口にするなんて出来ない。出来るわけがない…。


そんなの…私の“わがまま”にすぎないんだもん…。



玲央くんは私よりも…“大きなもの”を背中に抱えている。
それを“守っていく”ために…遠くへ行ってしまうんだ…。



だったら私は…―。




「玲央く~ん……」



「…よしよし」


泣き叫びながら玲央くんの背中に腕を回すと、
玲央くんは優しく私の頭を撫でてくれた。



「……。

 2年経ったら…必ず未亜ちゃんの所に戻ってくるから…。それに…高校より短いじゃん。きっと、あっという間だよ。だから今は…思いっきり甘えて…?」



「グスンッ…じゃあ…もっ、と…グスッ…ギュって、して…っ?」



「こう…?」


玲央くんが抱き締める力を強める。
それと同時に私も抱き締める力を強めた。



「ぅわ~ん………ヒックッ…」


“してほしい”って言ったのに…涙は止まるどころか更に溢れ出す。



「……俺、約束するよ…。絶対…未亜ちゃんのことは裏切らないし…未亜ちゃんのことだけが好きだって…」




玲央、くん…。




「……。

 あ…あたしも…玲央くん、が…好き…玲央くんのこと…大好き、だよ…?
 だからっ…向こう行っても…頑張ってね…?私も…頑張る、から…っ」



「うん…ありがとう…」




本当はそんなことを考えるだけで寂しさで押し潰されそうだけど…
でも今言ったことは…本当の本当に…嘘なんかじゃないからね…?




だって私は…



玲央くんのこと…“応援する”って決めたんだから…―。





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