♀ my prince ♂
―――――――――…
―――――――…
「はぁ……もうすぐかぁ…」
部屋にあるカレンダーを見てそう呟く。
彼から“アメリカに留学する”と聞いたあの日から時が経つのは本当に早くて…
私たちは、あっという間に卒業式を迎えて…寮で生活をすることもなくなった。
だから今は実家の自分の部屋にいて、ため息なんてついていた。
それはなぜかと言うと…
玲央くんがアメリカに向けて出発するのが、3月の終わりでその日が段々と近づいているから。
向こうの学校はまだ始まらないんだけど…先に行って会社関係の人たちに会ったりするらしい。
それにその日は…
“みんなで見送りに行こう!”そう約束している―。
もちろん私も行くけど…泣いちゃうかも…。
でもでも!泣いたりしちゃ絶対にダメ…っ!!
そんなの…玲央くんを困らせてしまうだけ…。
笑顔で見送んなきゃ…。
私はここ最近、毎日のように心の中でそう誓っていた。
♪~♪~
そんなある日の朝、携帯の着信音が鳴り響き誰からなのかを確認する。
「え…!?」
玲央くん…?何だろう…?
画面には“里原 玲央”と書かれている。
まさかなその人からの電話に私は出た。
「…もしもし。」
『あ。未亜ちゃん?』
「うん。どうしたの?」
『あのさ、今週の金曜…俺ん家泊まりに来ない?』
「金曜日…―?」
そう言われて思いを巡らせる。
あっ…そっか…。その次の日の朝…行っちゃうんだ…。
「―…うん、行く。絶対っ」
『じゃあ迎えに行くよ。朝の9時に行っていい?』
「9時…?うん、いいけど…ずいぶん早いね?」
何も考えずそう思って口にした。